今回は熊本薬専に進学された三次中学同級生Yさんからの葉書。
戦況が悪化し同世代の多くが軍関係の学校を目指して進学する中、自信の進みたい道を選択したことで一時期は後ろめたさの様な感情に苛まれていたYさんであったが…
解読結果は以下の通り。
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御返事有難う。大変遅れて済まぬ。郷里から
の報に依れば、大部分の者が一次試験にパスしたそ
うだ。それから、四、五年生の者全部通年動員で
自 六月廿五日 至来年三月三十一日間、呉工廠に行くとの事だ。
お国の爲ならば何ともし難いが、海兵受験者腐って
いると。學校が近頃大変面白くてたまらない。
殊に数学(微分・積分)、ドイツ語、有機、無機等
もうなんでもバリバリだ。
僕らにはまだ勉強をして呉れとの事か。動員は未
ない。が、秀刊(?)には一週間(十八日)より行く。試験も伸びだ。
では何呉れと、身体に気を付けてやって呉れ。
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最後から二行目の「秀刊(?)」がよく解らない。多分間違っていると思うが適当な語彙が見つからなかった。
前回(2019.11.10)投稿したYさんの葉書では、陸軍予科士官学校に入学した三郎に対し「俺も陸士に憧れていた」と一緒にお国のために戦いたかった気持ちを吐露し、ある種の後ろめたさを感じていた様子であった。
しかし今回の葉書ではそれらの気持ちが吹っ切れた様子で「學校が近頃大変面白くてたまらない」と勉強できる喜びを記している。
三次中学在校中の同級生や下級生たちが呉海軍工廠へ通年動員されたことからも自身へもいつ動員命令が下るか判らない状況であるも、「やっぱり勉強は楽しい!!」と学生生活を謳歌している。
本来学生の本分は勉強である。
三郎も羨ましく思ったに違いないであろう…