ここの所、三次中学同級生からの便りが続いているが、五年生への進級組は軍関係学校の受験が近づいているにも拘らず、戦争による労働不足を補うための「学徒勤労奉仕」に動員され勉強が捗らず、皆疲れ焦っている様子である。
今回もそんな同級生Yさんからの葉書。
解読結果は以下の通り。
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拝復 お便り、御指導有難う。永らく失禮
して居た。悪からず。君も元気とのこと安心した。
俺も元気旺盛にて日夜来るべき決戦に備
えて居る。しかし今頃は作業々々で準備は
なかなかはかどらない。だが気分だけは確かだ!!
将に今年こそ決勝の年だ。
陸豫士受験者は多数ある。五年生に三十と若干
名、四年生も五年と大差なし。有望だろう。
これこそ三中魂の発露だ。(御指導を乞う)
末筆乍ら今日はこれにて失禮する。何卒身体に
十分注意して、君の本分に邁進せられんことを、
巴狭(峡?)の地より祈る。
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冒頭に「御指導有難う」とある。
受験に於いて勉学はもちろん重要であるが、事前準備や心構え或いは受験当日の雰囲気なども疎かにできない要素で少しでも知っておきたい情報であり、三郎は一足先に入学できた者として、これらの情報を同級生達へアドバイスしていたと思われる。
振武台での厳しい授業や訓練で疲れていながらも同級生達との手紙のやり取りを続けていた背景には、単なる友達意識の為だけでなくこう云った重要な情報交換の必要があったからだと思われる。
Yさん含め陸軍予科士官学校を受験する同級生や後輩達に是非合格して欲しいと云う思いが強かったのであろう。